世界かんがい施設遺産とは
かんがい施設遺産は、かんがいの歴史・発展を明らかにし、かんがい施設の適切な保全に資するために、歴史的なかんがい施設を国際かんがい排水委員会(ICID)が認定・登録する制度で、2014年から取組が始まりました。登録により、かんがい施設の持続的な活用・保全方法の蓄積、かんがい施設の維持管理に関する意識向上に寄与するとともに、地域づくりへの活用が期待されます。2016年までに8ヶ国47施設が登録されており、2017年は新たに5ヶ国13施設が登録されました。
世界かんがい施設遺産の対象施設・登録基準
建設から100年以上経過した次のいずれかの施設
①ダム ②ため池等の貯水施設 ③堰、分水施設 ④水路 ⑤古い水車 ⑥はねつるべ ⑦排水施設
⑧現在または過去の農業用水管理に機能上関係する(していた)区域又は構造物
9項目の基準のうち1つ以上満たす施設
①潅漑農業の発展、食料増産等に資するもの ②設計、施工等が当時としては先進的なもの
③農村の発展、貧困削減に大きく貢献したもの ④設計、施工等が当時としては革新的なもの
⑤現在の技術への発展に貢献したもの ⑥環境に配慮した設計・施工を行っているもの
⑦当時としては驚異的な技術であったもの ⑧建設手法がユニークなもの
⑨伝統文化、文明の痕跡を有するもの
国際かんがい排水委員会(ICID)とは
国際かんがい排水委員会(ICID)とは、かんがい排水に係る科学的・技術的知見により、食料や繊維の供給を世界規模で強化することを目的として1950年に設立された非営利・非政府国際機関であり、本部はインドのニューデリーにあります。日本は1951年に加盟し、日本を含む各国が国内委員会を設置しています。
ICIDには76の国・地域が加盟しています。(2017年11月現在)
世界かんがい施設遺産の登録施設(世界)
国名 | 2017年分登録件数 | 2016年分登録件数 | 2015年分登録件数 | 2014年分登録件数 | 合計 |
日本 | 4 | 14 | 4 | 9 | 31 |
中国 | 3 | 6 | – | 4 | 13 |
韓国 | 2 | 2 | – | – | 4 |
エジプト | – | 2 | – | – | 2 |
タイ | – | – | 1 | 1 | 2 |
スリランカ | – | – | – | 2 | 2 |
豪州 | 2 | – | – | – | 2 |
メキシコ | 2 | – | – | – | 2 |
パキスタン | – | – | – | 1 | 1 |
ロシア | – | 1 | – | – | 1 |
合計 | 13 | 25 | 5 | 17 | 60 |